日本では、1970年から日本書籍出版協会と日本出版取次協会が制定した書籍コード(xxxx-xxxxxx-xxxxの形式)が用いられていましたが、1981年からISBNコードと分類コード・定価コードを組み合わせた日本図書コードに次第に移行し、1983年からは70年から続いていた書籍コードは中止され、日本図書コードに一本化されました。
1991年から、日本図書コードが2段のバーコードで表示されるようになりました。日本図書コードを、一般の商品に使われているJAN(Japan Artical Number)コード体系に割り付け、バーコードを用いたPOSシステムで、在庫、流通などの管理に使えるようにしようとしたものです。これを書籍JANコードと言います。書籍JANコードはそれに対応するバーコードと共に、ISBN部分と分類コード・定価コード部分の二行にわたって印刷されています。
ISBN(International Standard Book Number)は、1969年、イギリスの標準図書番号を元に、国際標準化機構(ISO)において ISO 2108-1978 として制定されれ、1988年には日本工業規格、JIS X 0305-1988 「国際標準図書番号(ISBN)」となりました。この番号は、日本では、「日本図書コード管理センター(Japan ISBN Agency)」で管理されています。新規に出版者番号を割り当ててもらうには、設定管理費として10000円程度が必要で、また、書籍JANコード(バーコード)を取得する場合は「管理費」として、書籍の売上高などに応じて、1万円から10万円程度が必要になります。
日本図書コードは、ISBNコードに分類コード・価格コードを合わせたものです。普通、OCR(Optical Character Recognition:光学式文字認識)用の文字でカバー裏に次のように表されています。
ISBNx-xx-xxxxxx-x Cxxxx \xxxxxE ("x"は数字と記号X) ~~~~~~~~~~~~~ ~~~~ ~~~~~ | | | | | 定価コード | 分類コード ISBNコード
ISBNコードは、ISBNに続く10桁の数字です。最後の桁がチェック用の数字ですから、残りの9桁で最大10億タイトルの書籍を区別できるわけです。マイナス記号は各コード間を分離する記号でこの桁数には含まれません。
ISBNの表示に続く数字が、国別記号ですが、発行された国を表すのではなく言語を示しています。日本語は"4"です。
国別記号の後の数字が、出版者コードと、出版者が独自に決められる書名コードです。
日本においては、出版者コードは日本図書コード管理センターで管理され、2桁から7桁の数字で表されます。この領域の桁数は合計8桁ですので、残りの6桁から1桁が、出版者が自由に使える書名コードになります。例えば出版者コード"00"は岩波書店ですが、この場合、残り6桁が岩波書店が使える書名コードとなり、岩波書店は最大100万点の出版物を区別できるわけです。また、出版者コードが7桁の場合は、1桁の書名コードが使え、10タイトルの書名を区別することが出来ます。
ISBNコードの最後の桁が、(ISBNコードの)チェック数字です。各桁に10から2までの重みを付けたものを、モジュラス11で算出します。
例えば佐藤正午著「永遠の1/2」日本図書コードは、ISBN4-08-772462-X C0093 \980E ですが、その場合ISBN番号は、408772462 ですね。そのチェック記号を求める計算は次のようになります。
4*10 + 0*9 + 8*8 + 7*7 + 7*6 + 2*5 + 4*4 + 6*3 + 2*2 = 243 243 ÷ 11 = 22余り1 cd = 11 - 1 = 10 10は"X"と表記 というわけで、チェック数字は"X"となるわけです。
実際にチェックするときには、チェック数字を含めた10桁の数字に、10から1までの重みを付け、11で割り切れれば、コードの読みとりが成功したと判断するのでしょう。
C以下に続くのは分類(classification)コードです。1桁の販売対象コード、1桁の発行形態コード、日本十進分類法(NDC)に準じた2桁の内容コードになります。ちなみに先の例の、"C0093"は、一般(0)、単行本(0)、日本文学(93)を示しています。
次の\記号以下が定価コードです。5桁用意されているので99999円まで表示できますが、それ以上の値段のものは"00000"と表示します。
書籍JANコード(ここではバーコード下の数字)の形式は次のようになっています。
[f1][f2][f3] [i1][i2][i3][i4][i4][i6][i7][i8][i9] [cd] [f1][f2][f3] [c1][c2][c3][c4] [p1][p2][p3][p4][p5] [cd]
EAN(European Articl Number)で決められている書籍用(ISBN)のフラッグです。この三桁の部分にISBNのプレフィックスとして978が指定されます。
EANでは、例えば日本の国別番号のプレフィックスは45と49と決められていますが、この三桁のフラグは、それと同じ形式のプレフィックスです。つまり、最初に978あるいは979が付くものは、それ以下のコードが通常の国別コードではなく、ISBNコードを利用したものになるということを意味します。
ISBNコードの10個の数字(コード9桁とそのチェック数字1桁)になります。
192は、このコードがJAN二段形式で、分類コード + 本体価格であることを示します。
このフラッグは以前は191であり、その当時は消費税3%が加算された内税価格が表示されていましたが、消費税が5%に上がったのを期に、1997年4月以降はこの価格を税抜き表示価格(本体価格)に変更しました。整合性のため新体系を意味する192というフラッグを与えました。
日本図書コードの4桁の分類コードです。
日本図書コードの5桁の定価コードです。
その前の12桁の数字をチェックするための数字です。JANコード形式なので、奇数桁に1、偶数桁に3の重みを付け、モジュラス10で計算しています。
例えば2000年5月18日岩波書店から発行される、佐藤正午著「きみは誤解している」の書籍JANコードは定価1700円ですから、9784000255073(一段目)、192009301700x(二段目)と予測されます。このxを予測してみます。
192009301700 の左から数えた奇数桁に1、偶数桁に3の重みを 付けます。 1*1 + 9*3 + 2*1 + 0*3 + 0*1 + 9*3 + 3*1 + 0*3 + 1*1 + 7*3 + 0*1 +0 = 1+27+2+0+0+27+3+0+1+21+0+0 = 82 82÷10 = 8余り2 x = 10 - 2 = 8 というわけで、二段目JANコードは 1920093017008
2003.12.14の更新 重みを付けた計算を83と誤っていたのを82に訂正しました。ご指摘くださったarqeeさんありがとうございます。加えてその後発売された、『きみは誤解している』初版本の書籍JANコード二段目は1920093017008であったことを報告します。